2017年11月に行われたワールドカップ第1戦で転倒し、亜脱臼という大けがを負ったスキージャンプの伊東大貴選手。
その凄惨な現場は記憶に新しいですね。
スキージャンプはこのように、非常に危険と隣り合わせの競技ですよね。
そこで気になったのが、滑走時のスピードやジャンプ台の高さ、最も悲惨な事故です。
そんな怖い思いをしてまで何故飛べるのか?
今回はそんな気になるスキージャンプの裏側ついて調べてみました!
アイキャッチ画像引用元:http://ftp.gigazine.net/news/20130128-world-largest-ski-jumping-hill/
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スキージャンプ台の高さや滑走時のスピードって?
レジェンド葛西紀明選手や高梨沙羅選手が飛んでいるスキージャンプ台はいったいどれくらいの高さなのでしょうか!?
ラージヒルにおけるスタートゲートから着地点までの標高差は最大で約140メートルといわれています。
これは高層ビルでいう38階相当で、東京タワーの展望台と同じくらいの高さだそうです。
そしてカンテと呼ばれる飛び立つポイントの高さは地上から86mです。
140mの高さから滑走し、86mの高さから飛び立つというイメージです。
この滑走時のスピードはおよそ時速90kmと言われています。
スタートしてからアプローチを時速90kmで滑走する状況はまるでジェットコースターに乗っている感覚に近いとされ、そしてK点である120mの着地時の最高時速は100~120kmと言われています。
つまり、東京タワーの展望台から滑り降り、およそ100mのアプローチを時速90kmで滑走し、そこから時速120km前後のスピードで120m先に着地するということでしょうか。
よくよく考えると非常に恐ろしい競技ですね…。
スキージャンプの事故って
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そんな危険なスキージャンプでは過去にどのような悲惨な事故が起きているのでしょうか。
空中で板が外れる!
まずは2005年11月、当時スキージャンプ界で将来への期待が高まっていた金子祐介選手が、フィンランドでの合宿の練習中に、空中で突然板が外れるというアクシデント。
その結果、顔面から墜落してしまう、目を覆いたくなるような悲惨な事故が起こりました。
怪我の状態は、顔面骨折・脳挫傷で緊急手術を受けるという重篤なもので、意識不明の状態で日本へ搬送されました。
当時の金子選手は高次脳機能障害という位置づけで、具体的には動物の絵を見てもその動物の名前が書けない状態で、自分の名前も思い出せなかったそうです。
しかし婚約者の必死の支えでリハビリを懸命に行い、翌年の7月に40mを飛べるまでに回復し、同年11月に行われた秋田県鹿角市花輪シャンツェでの復帰戦でいきなり優勝!
翌2007年2月の国体でも優勝を飾り、後に奇跡の復活を支えてくれた婚約者と結婚することになります。
本当に支えてくれる人がいると人間は強くなれるんですね。見事な復活劇でした。
着地失敗
次の事故は2013年、高梨沙羅のライバルとされていた渡邉陽選手が、中学校全国大会で着地に失敗して転倒するという事故が起きてしまいました。
怪我の状態は、前十字靭帯断裂で、太ももの骨とスネの骨を結ぶ強靭な靭帯が断裂してしまうという重傷を負ってしまいました。
その後の選手生命も危ぶまれる大けがを負ってしまいましたが、その後の懸命なリハビリが功を奏し、翌年に見事に復活しています。
2人とも大けがをしながらもリハビリに励み、見事な復活を遂げています。
金子選手にいたっては、現在ではコーチに転身しており、自らの体験を糧に後身の育成に役立てているそうです。
正に「経験者は語る」ですね。
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スキージャンプ選手でもやっぱり怖いの?
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この東京タワーの展望台から飛び降りるようなジャンプですが、スキー選手ともなれば怖くないものなのでしょうか?
葛西紀明選手は1994年のノルウェー合宿でノーマルヒルの練習中に転倒し、鎖骨を折る大けがを負いました。
その怪我がまだ完治する前の宮様スキー大会でスタート台に立った瞬間に初めて怖さを経験したと語っています。
どんなに練習を積んだ選手であっても、スタート台の上に座ると、恐怖心がこみ上げてくるものだそうです。
やはり人間です、それは怖いですよね。
そんな恐怖との戦いの中で、コーチからあれこれ指示を受けても、逆にパニックになってしまいます。
そこで葛西紀明選手は、ジャンプ台の上で考えることが、失敗のジャンプを生むと捉え、常に「無心」で飛ぶことを心がけているそうです。
この点、無心になれる理由として京都大学認知神経科学専門の乾敏郎教授によれば、
「スリル、恐怖がある競技では、成功イメージによって脳内に快感をもたらすドーパミンが分泌され、成功イメージと実際の成功体験を繰りかえす中で快感が強化され、恐怖を感じないのでは」
と分析しています。
成功体験、喜びが恐怖を上回るということなんでしょうね。
あとがき
もともとスキージャンプは危険な競技であるとの認識がありますが、実際にその高さが東京タワーの展望台と同じで、そこから高速道路を走るようなスピードで滑走して100m以上も飛ぶという具体的な数字を知ると、
本当に危険な競技だと感じますよね。
そして悲惨な事故により大けがした選手は、その恐怖心に負けずに再び飛ぶ道を選びます。
大空を飛ぶ爽快感、大飛行に成功する達成感、喜びが、恐怖心を上回るからこそ、無心になれるんですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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